ルビージュエルについて

ルビーについて

ルビー(Ruby)とは、コランダムと呼ばれる鉱物の一種で、赤い色をした宝石です。
コランダムは宝石の中ではダイヤモンドに次ぐ硬い鉱物(モース硬度9)で、主成分は酸化アルミニウムです。純粋なコランダムは無色透明もしくは白色で、不純物としてクロムが1%混入すると赤色のルビーになり、鉄・チタンが混じると青色のサファイアになります。
また、クロムの量が0.1%しか混ざっていない、薄い赤色のものは「ピンクサファイア」と呼ばれます。

ルビーの語源はラテン語の「赤」を意味する"rubeus"(ルベウス)から来たという説と、サンスクリット語の「宝石の王」を意味する”Ratnaraj”に由来するという説があります。ルビーはミャンマー、スリランカ、タイ、カンボジア、ベトナム、タンザニア、マダガスカルなどが主な産地です。

ルビーは7月生まれの人の「誕生石」であることは良く知られていますが、この「誕生石」と言う考え方の原型は聖書から来たもので、後にアメリカの宝石商組合の販売戦略として採用されました。

また、ルビーの一般的な石言葉は「情熱、熱情、純愛」と言われていて、いずれも人の強い感情を表していますが、ルビーだけでなく多くの宝石の産地で有名なミャンマーにおいては、もっと原初的な意味合いで語られ、ルビーには「神秘の力」があると信じられています。
欧米においてルビーは、ダイヤモンドよりも価値のある、最も貴重な宝石であると考えられています。

ピジョンブラッドルビーとは?

ミャンマーのモゴク地方で産出される濃い赤色のルビーを、鳩の血の色に例えて、ピジョンブラッドルビーと呼ばれています。
鳩の血の色というのは日本人にはあまり馴染みがありませんが、ヨーロッパの中では鳩を食す習慣がある国も多いので、ヨーロッパ人にとって「鳩の血の赤」と言う表現は、以外にイメージし易い色であるのかもしれません。
日本人のメンタリティーからすると、少しショッキングなネーミングであり、また実際に「鳩の血の色」を見る機会がないこともあって、その神秘的な響きに心引かれる方も多いようです。

ミャンマーモゴク以外の他の産地のルビーは、どれだけ赤色が濃く美しくても「ピジョンブラッド」と呼ばれることはありません。
これは良質のミャンマーモゴク産ルビーに含まれる着色成分(これは不純物でもあるのですが)が、クロムのみが多く含まれるからであり、他の地域から産出されるルビーには他の着色成分であるところの鉄・チタンが多少なりとも含まれますので、色味に明確な違いがあるからです。

それでは、どのような赤色を「ピジョンブラッド」と呼ぶのでしょうか?
それは鮮やかでどこまでも濃い赤色なのですが、まったく黒味が感じられず、「どことなくピンクパープル味がニュアンス的に感じられるカラー」だと言えます。

実はあまり知られていませんが、ミャンマーモゴク産のルビーはピンクサファイアに分類される薄い赤色から、最も濃い赤の「ピジョンブラッド」と呼ばれるカラーに至るまで、色味に連続性があります。この色味の連続性が、赤色の中に含まれる「どことなくニュアンス的に感じられるピンクパープル味」なのですが、ピジョンブラッドルビーと呼ばれる品質のものは、このカラーチャートをイメージしていただいて、黒味を感じる寸前ギリギリの濃い赤色で、かつ透明度が高く、「テリ」と呼ばれるルースの持つ輝く力が強いものを言い、上記全ての条件を満たしているものを指します。

色味にわずかでも黒味や黄味が混じっているものや、ミャンマーモゴク産ルビーの特徴である「ニュアンス的に感じられるピンクパープル味」が強く出過ぎるものも、ピジョンブラッドルビーとは言いません。
また、繰り返しになりますが、他の鉱山のものはどれだけ濃い赤色であったとしても、この赤色の連続性の範疇からは外れるので、美しいものであってもピジョンブラッドとは言えません。
(例:タイ産の最高カラーはビーフブラッドと呼ばれます。)

最近は原産国ミャンマーの政情不安やルビー鉱山の枯渇、また、鉱夫の不足や動力燃料の高騰等によって、ますます良い品質のピジョンブラッドルビーは手に入らなくなっています。

2011年現在で、ザザビーズやクリスティーズのオークションに出るような最高品質の「非加熱ピジョンブラッドルビー」の店頭価格は、1ctサイズで300万円といったところです。


ルビーの歴史

古代の人々にとって伝説や神話は「真実」であって、そこには守るべき秩序と生きてゆく上での規範がありました。現代に生きる私たちから見ると迷信で片付けられることも、古代の人々にとっては大切な拠所でもあったのです。
特に希少性があり人々を魅了する宝石類は、身体を飾る宝飾品としての目的以上に、お守りとしての効用が期待されていました。

中でもルビーは古代の人々から、「宝石の王」として知られていました。
炎をイメージする赤い色は、身に付けているだけで身体の奥底からパワーが溢れ、やる気がドンドン出て成功に導かれると思われました。

また、ルビーを身に付けることにより行動的になり、人としての魅力が増すことによって、異性にもてるようになると言われ、後に恋愛成就のための宝石とも言われるようになりました。同様に炎の赤色は戦いの神であるマルスを連想し、戦において敵を打ち破り、兵士の身を守る最高のお守りであるともされました。また、強力な治癒効果もあるとされ、多くの人々を病から救う力があると信じられていました。

赤色から血液を連想するために「血液と熱を癒す」作用があると言われ、古代インドのアーユルベーダにおいては、ルビーを粉末にして薬として用いたという記述もあります。このように洋の東西を問わず、古代においてルビーは宝飾品としてのみならず、人生の勝者を目指す者の必須の「万能アイテム」といっても、過言ではないものでした。

現代においてもルビーは宝石としての希少性及び価値を比較すると、同カラットの最高級品同士において、ダイヤモンドを遥かにしのぐと言われています。 また古代と同様に現代においても、宝飾品としての目的以外に、その光学的特性を利用して、レザー光線の研究開発になくてはならないものであり、また、その硬度を利用して、対磨耗硬度の必要な精密機械の軸受け部分等に幅広く利用されています。

当店のルビーについて

当店のルビーはミャンマーモゴク鉱山から産出された、「非加熱ルビー」を中心にご紹介しています。当店店主の私は、10数年前から頻繁にミャンマーを訪れ宝石の買い付けを始めました。何度もミャンマーに通う間に知り合いも多くなり、今ではモゴク鉱山の多数の宝石サプライヤーとの間に太いパイプを築き上げています。

宝石の仕入れで最も大事なことは、宝石を見る目を養うことはもちろんのことですが、それ以前に、良い宝石を集められる独自のルートを作れるかということに尽きると思います。

もちろん、世界中で開催されている業者用の宝石展示会に出かけますと、比較的安全に様々な産地の宝石を買い付けることは出来るので、独自のルートの開拓も必要はないのですが、無処理(非加熱)の良い宝石ほど産地でも足が速く、展示会に届くころには多くのバイヤーの手を巡り、なかなか手の出ない値段になっているのも事実です。

通常、ネットでも実店舗でもジュエリー店を運営する場合先ず考えることは、いかに多くのお客さまにジュエリーを販売して、少しでも多く売り上げを多く上げるかということだと思うのですが、当店店主の私はここ十数年間その努力をあまりせず、ミャンマー現地での人脈作りや拠点作りの方に持てる時間と努力を傾注して参りました。
その結果、今でも当店のお客さまの数は少なく、売り上げ的にもサッパリですが、何処の大手にも真似の出来ない、現地での深くて広い人脈を作り上げることが出来ました。
今では事前に日本から大まかなオーダーを入れておくと、渡航した際に多くのサプライヤーが、当店の現地事務所に集まってくれるようになりました。その中から良いものだけをチョイスして現地価格で仕入れる、今ではこんな手順になっています。

当店はモゴク産のルビーを中心とした品揃えなのですが、別店舗で翡翠専門店も運営しています。ここではあまり詳しくは申し上げませんが、翡翠は翡翠で別のルートがありまして、このルートも同じく、パカン翡翠鉱山に深く食い込んだ人脈を築いております。

ミャンマーのルビー鉱山として、「モゴク鉱山」以外に「マインシュー鉱山」と「ナンヤー鉱山」があります。
「マインシュー鉱山」のルビーは黒っぽい核のようなインクルージョンが含まれることが多いので、多くは加熱処理を施されて、商業レベル(ミドルクラス)のルビーとして世界中の宝石店に提供されています。

「ナンヤー鉱山」は比較的新しい鉱山で、翡翠の産地で有名なパカン鉱山の近くにあります。小さな結晶のルビーが多いですが、非加熱でも使える綺麗な結晶も出ていますので、最近注目されています。上記両鉱山から産出されたルビーでも、非加熱で品質の良いものであれば、鉱山名を明記してご紹介してゆきたいと思っています。


ルビー以外のカラーストーン

当店のルビー以外のカラーストーンも、基本的には「ミャンマーモゴク鉱山」産出の無処理ルースを中心に取り扱っております。
一つの鉱山にこだわる理由は、同一鉱山において様々なカラーストーンが産出されるということと、その多品種のカラーストーンにおいて、いずれも世界でトップレベルの品質であるということです。

地質学的に見ても世界でも珍しいということで、ルビー、サファイア、スピネル、ムーンストーン、ぺリドット、各種トルマリン、アクアマリン、各種ガーネットアメジスト、トパーズ、ジルコン、各種水晶、トルコ石など、40種類を超える代表的なカラーストーンが比較的狭い地域から産出され、中でも品質の高いものは発色がよく、全てのカラーストーンにおいてジェムレベルと言えます。

また、鉱山は異なりますが、ミャンマー北部には本翡翠で有名なパカン鉱山があり、世界で流通している本翡翠の95%以上はパカン鉱山からのもので、品質においても他国産の本翡翠の追随を許しません。当店は別店舗で翡翠専門店も運営しています。
こちらも独自のルートでパカン鉱山から本翡翠原石を仕入れて、モゴク鉱山から仕入れたカラーストーンと合わせて、当店の現地工房でジュエリーや各種製品に仕上げています。

ミャンマー最北部の山中からは産出量は少ないですが珍しい「赤琥珀の鉱山」があり、また最南端の島々は現在では「南洋真珠」の一大産地になっています。機会があればそれらも、ご紹介させていただきたいと思っています。

ページTOPへ戻る